猫エッセイ 第169回 世界大会直前!今日本がやるべきことは?! 史上初の日本開催、いやアジア開催となる世界選手権。いよいよ来月に迫りました。 会場は六本木ヒルズ。国内イベント会場としては最高級の舞台です。 これは別に驚くことではなくて、いままでの世界選手権も常に「その国の最高級の舞台」で 行われていたのです。 「えっこんなに?!」 とびっくりするくらいの豪華かつ豪勢なイベントとなるに違いありません。 そしておそらく海外からも取材報道メディアも、 「えっこんなに?!」 とびっくりするくらいの規模でくることでしょう。 (もちろんものぽねこも前回同様メディアでの参加をもくろんでおりますよ…ふふふ) 「実力世界一、しかし一般への認知は最低レベル」 といわれ続けた地元日本人に対しても、 黒船級の刺激を与えることと思われます。 願わくば「いい方向」での刺激となってもらいたいものですね。 (一般の見学がどこまで可能なのかがいまいち不明瞭なので誘いにくいのですが…) さて、そんな世間的な動向はとりあえず置いておいて、 日本人2名が「勝つ」ために、直前のこの期間にはなにをするべきなのかを 第三者の気楽な立場から勝手に考察してみたいと思います。 本番まであと2週間弱。 この間も(第154回)書きましたように、この時期にやることというのは おのずと限定されてきます。 特に世界戦の場合、この「直前の追い込み」は 重要だと思われます。 なぜなら過去にも触れたように(第56−63回)、世界選手権は、 国内の大会とは「全く違う」部分が多いのです。 そこをきちんと抑えて対策を練っておきたいところです。 以前のエッセイだけでは若干誤解を招く部分もあるかもしれませんので、 4年後の今の主観も入れて、あらためて列記してみますと、 ●英語対策 ●外国人のプレイスタイル対策 ●世界大会のルールやマナー対策 ここでは絞って、ざっとこの3点とします。 それぞれ見てみましょう。 ●英語対策 まず、当然のことながら、言語の壁というのがでてきます。 大会では英語(のみ)が公用語ということです。 英語が母国語ではない国の代表選手には、希望すれば通訳がつきます。 通訳経由での交渉ゲームというのがいかに「不利」なのかは、 いまさらここで滔滔と述べるまでもないこと。 ・優秀な通訳を雇い、ゲーム知識をできるだけ仕入れてもらう。 ・事前の練習 ・本番では、特にネイティブ同士の直接交渉に気をつける。 既にモノポリーサークルの例会会場を使っての「公開練習」のようなものも 実施されているようです。 ●外国人のプレイスタイル対策 続いて、外国のプレイスタイルの違い。 国によって微妙に違いはあるのですが、大雑把に(やや極端に)いうと・・・ とにかくグリーン最強です(笑)続いてダークブルー、イエロー、レッド。 オレンジの価値はかなり低く、ライトブルーにいたっては誰もやりたがりません。 理由は簡単で、序盤はひたすら自力狙いでダイスを振り続け、 結果的に、全員が3000ドル近く持っている状態で交渉を開始するからです。 国内の大会でよく聞かれる「家が何件たつのか」という交渉は意味がありません。 どうせホテルスタートです(笑) 同じ意味で、駒位置もあんまり意味がありません。 何度突っ込んでも払えます(笑) それだけに、微妙な確率計算をしながら交渉を持ちかけることのできる日本の 「テクニック」が、活きてくるわけなのです。 岡田さんが世界を制した最大の理由が 「自分の有利な駒位置で交渉を持ちかけた」 という、基本中の基本を、先手先手をとり続けることによりきちんと実践していた、 ということに尽きると思います。 (なにせ一手先に収入を得るかどうかが、二千ドルの開きになるわけですから) また、カードを購入するときには、基本的に現金買いです。 1000ドルとか2000ドルとかいう値段も普通につきます(笑) 逆に、たくさん買いすぎたカードの活用はあまりされていません。 どうしてもお金が足りなくなったら抵当にするかな、くらいです。 この裏になった権利書がまた極端に安くなるのも特徴です。 かといって、「つぶれるのを待つ」戦法も危険すぎます。 自分が先にホテルを渡り歩いてしまうとさすがに追撃もできなくなるからです。 ・基本は先制、駒位置を見て先手をとる交渉 ・DBやGRを揃えさせて、自分はORホテルスタートなどを狙う ・十分に現金に余裕をもたせて経営する ・抵当物件を安く買い上げる こういった戦略が立てられるように、いまから頭を切り換えておきましょう。 ●世界大会のルールやマナー対策 最後のルール及びマナー。 ポイントシステムだとかゲーム時間だとかに応じた、戦略戦術の研究には熱心な日本人。 その日本人にとって、ルールとマナーの点は、 実はもっとも不安因子となる可能性があるのです。 多くの日本人はルールとマナーの2つを「別物」と認識している人が多いようです。 確かに単語としての意味は別でしょう。 しかし、実際に世界大会を観戦すると、この2つは境界線があってないようなものです。 なぜなら、「その場の審判の判断がルール」という傾向が強く、 実際に「俺がルールブックだ」ノリの裁定が頻出しているからです。 たとえば交渉が長すぎるときなどは、次の振り番の選手がクレームをつければ 「リザベーション」といって、次の人が振って抜けるまで家を建ててはいけない、 などと指示することもあります。 このへんは、「交渉を長引かせない」という、本来「マナー」に該当する部分が 審判の判断で「ルール」化するという顕著な例です。 また、トイレに席を立った選手がいても、そのままプレイを続行させたり、 その離席中の選手の経営する家に他人がとまっても、支払いが免除されたりします。 そんなルールはどこにもないぞ?ではないのです。審判が判断すればそれがルールなのです。 国内でしかプレイしていない人にとっては 「暴虐裁定だ」 と怒る人もいるかもしれませんね。 しかし、違うのです。これが「世界の常識」なのだと考えねばいけません。 もちろん、ダイスを振るモーションに入った選手に「ストップ」といっても、 「遅いからだめ、そのまま振って」と却下されることなど火を見るよりも明らかです。 交渉や建築のようにゲームをとめたいときには、「自分が振る前に行う」これが鉄則。 「ストップって言ったでしょ。振らないでよ」などと食い下がっても無駄です。 「審判がみて、見苦しい・好ましくないプレイ」は全て排除です。 このことは、「楽しく紳士的に会話を楽しむ」という根本の目的を見失っていないという意味で 私は支持したいですね。 マナーがルール。この基本を勘違いすると世界大会では混乱したり切れたりして退場、という 悲惨な終わり方にもなりかねません。 交渉が思うようにいかないからって声を荒げたり机を叩く(笑)なんて、 それこそ「即刻追放ものの重大犯罪」なのですよ。 そういう部分において「やや心配」なプレイヤだと、出場しても命取りになるでしょう。 どんな窮地に立たされても、どんな屈辱を受けても、 笑顔で受け止め、ウィットに富んだ受け答えでさらりとかわす、そんな知的で紳士的な振る舞いが 要求されるのが「世界」なのです。 暗算能力や展開論の主張などではありません。 ただし、安心してください。 ・今回の代表選手2名に関しては、まったく心配なし ・紳士的プレイに徹し、常に笑顔を絶やさずに、観客を味方につけること 幸い人格的にも認識・経験的にも申し分のないお二人が代表に選ばれました。 ナンの問題もなくクリアしていると思われます。 というか、現在の国内の実力者でもっとも「世界に向いている」2人、 と言っても過言ではありません。 岡田さんはもちろん、植田さんも前回のトロントを「経験」しています。 私などよりもはるかに知識も経験も充実しているお二人のこと。 ここで書いたようなことはとっくの昔に実践済みでしょう。 まさしく「釈迦に説法」なエッセイだったかもしれませんね。 以上勝手に述べましたが、要するにいいたいことは 「ガンバレニッポン」 ご健闘をお祈りいたしております。