猫エッセイ 第155回 ラストチャンス大会 日本選手権全国大会の当日に行われる「ラストチャンス大会」、 開会式直前に「最後の選手」が決定するという、 なんともイベント色の強い大会のひとつです。 同時に、そのシステムも、 「より多く、より早くのモノポリー勝利を競う」 という、これまた極端なシステムとなっており、 ここで勝つには通常の大会とは全く別の戦略が要求される、 といわれています。 この大会は昨年からはじまって、今年は2回目が開催されたところです。 私も今回は初めて参加してみました。 その感想を踏まえつつ、 ここでは純粋にイベントとして、この大会の「傾向と対策」を 考えてみたいと思います。 まず、多くの選手が考えていたらしいのが、 「短期決戦のために速攻勝負できるグループを揃える」 ということ。 具体的には、オレンジやレッドやイエロー、 更にはダークブルーでの大博打といったところだった模様です。 私の狙いは、ずばりグリーン。 ただでさえ4人ゲーム、かつ権利書事前購入式(配布ではない)、 「場の現金が少ない状況」で、グリーンができるようになるまでには 相当の時間がかかってしまいそうに思えます。 実際にゲーム前のトークではグリーンは敬遠されている風潮ありありでした。 (ブラフじゃないかぎり、ですが) つまり、逆にそれが狙い目の一つだったわけです。 私が他にもいろいろ考えた限りでは、 「この大会で」グリーンを経営するメリットはかなりのものがありました。 ●売れ残りの恐れが少ない ●軟調相場 ●もともと強い ●安定経営に向いている 例によって、ひとつづつみてみましょう。 ●売れ残りの恐れが少ない これはラストチャンス大会というよりは、今回の「事前購入式」が原因です。 4人のプレイヤは必ず事前に3枚セットの権利書を購入してから開始します。 そのセットの中に、なんとグリーン(だけ)は、最初から2枚入っているのです。 緑の価値が下がりすぎることをきらっての配慮なのでしょうが、 3枚のうち2枚が最初から場に出ているということは、いくらなんでも有利すぎます。 自分の振り番にかかわらず、かなりの高確率で 「グリーンを含むセットを選択できる」というのも、強いですね。 もちろん最初は1枚も持たずに始めて、3枚全てを交渉で集めてもいいのですが、 4人ゲームは展開の偏りが怖いので、確実に1枚目を持ってスタートすることを選びました。 また、グリーンを含むセットには、オレンジなどの有力色が含まれているのもおいしい。 こちらを活かすような展開にもっていけば、十分に勝負できる形ができるはずです。 もちろん、その「肝心のオレンジ」がずっと売れ残ってしまうという展開もありえます。 そのために、「早めに出す」交渉を心がけることが重要なのは言うまでもありません。 できれば「もう1枚のグリーンになにかつけてもらう」くらいの条件が得られる局面を 序盤のうちから狙いたいところです。 序盤のうちに緑を2枚持っていても、全く警戒されません。 3枚目は自力より誰かに買ってもらうのが理想ですが、もし自力してしまったら 状況によっては「競売」もありえます。 事実、3枚目を定価未満で購入できたゲームもありました。 それくらいノーマークだった。というか、「重いねぇ」と同情される始末。 確かにそろえた瞬間は1軒オールくらいしか建たない資産でしたが、他にもカラーを持っていたし、 何より残りの3名がすぐに動ける形ではなかったので、ゆっくり回り続けていれば 自然に有望になってくるのがわかっていたんですけどね。 別のゲームでは、競り合わずに他人に落札させて、その後改めて交渉を持ちかけ、 暖色系を出す代わりにグリーンに更にお金をつけてもらうという、典型的条件を提示。 結果だけ見ると自力するより安く揃い、「他人の財布で相撲を取る」というパターンも。 ●軟調相場 単純明快。要するに、「安かった」のです(笑) 前述のように、大会参加者のほとんどは、 グリーンを経営する気はなかったのです。 「安ければ買っとけ」です。 しかもくどいようですが、選手4人のうち2人は、嫌でも事前に1枚づつ「購入」しています。 ますますの買い手市場です。 もちろんグリーンを揃える交渉は、基本は「花を持たせて木を育てる」交渉です。 ただでさえ4人ゲーム、しかも「定価買い」が2人以上いて全員の資産が少ないのに、 これではますます「有力色」をそろえて勝負をかける時機は遠ざかります。 こちらは緑を早めにそろえてゆっくり「更地攻め」なんて、乙ですよね。 ●もともと強い あえてここで出すのですが、グリーンはもともと非常に強い色です。 世界大会ではありませんが、「終盤最強の破壊力」は実に魅力です。 課題といわれている早いゲームでの活用法も、前述のように実はそれほど心配ありません。 モノポリーの殴り合いの場合、基本的に川上のグループが天敵ですが、 グリーンはこのイエローやレッドに家が建つ展開であっても、揃うプロセスさえ注意すれば 十分競っていけるはずです。 どころか、他のカラーを経営しているときには絶対に「家を建てて欲しくない」と思うはずの ダークブルーやライトブルーでさえ、グリーンにとっては追い風です。 「水は森を育てる」というやつですね。 まあとにかく、グリーンは一般に認知されている以上に強いんだ、ということです。 ●安定経営に向いている いい変えれば、「じっくり勝ちに行くカラー」であるということ。 カラーグループ別考察はあえてしないと言っていますので詳細は割愛しますが、 守備にも厚いグリーン特有の「懐の深さ」のことです。 このグリーン特有の特徴は、 「ゲーム時間を短くする」ということが目的ならば、不向きなはず。 しかし実はラストチャンス大会にこそ向いているのです。 なぜならこの大会は、 「取りこぼしなく確実に連勝する」ということこそが重要なのであって、 早いゲームは二の次だからです。 #な、なんだってー(AA略 言い換えれば、1ゲーム目を落としてしまったら、もう優勝はありません。 (開始15分で破産とかならまだわかりませんが…) 他の大会ならば、初戦を落としてもまだ望みは残る場合が多い (むしろ最終戦に得点が割り増しされる場合すらある)のですが、 ラストチャンス大会では純粋な勝ち残り戦に近いです。 最近開催された他のどの大会よりも、 「初戦に負ける」ことが致命傷なのが、このラストチャンス大会なのです。 「博打うって、ダメだったらさっさと破産して、次のゲームにかける」 というような作戦は、実は非常に効率が悪い、というか作戦負けです。 と、そこだけ気づいていれば、おのずと作戦も違ってくるはずです。 まあ机上の空論になるので、これ以上細かいことはやめておきましょう。 実際にどういう展開になるのかは、もちろんやっていないとわかりません。 私もその場その場で柔軟にいくつもりでした。 しかしふたを開けてみると、これが面白いように簡単にグリーンが集まり、 しかも面白いように順調に経営できてしまいました。 明らかに前述の「作戦負け」をにおわすプレイをする人が多かったのです。 以下は単なる感想です。 実は2勝利目の報告にいく時だけが一番あせっていました。 報告時刻が非常に重要だとわかっていたからです。 それ以外は例えばゲーム中の殴り合いの局面とかでも、精神的にはかなり余裕綽綽でした。 理由は(決してゲーム内容が有利だったからではなくて)、 「どうせここで負けたらもうおしまいだ」と開き直っていたからです。 それがよかったのか、勝負どころではことごとく自分は回避成功。 逆に、ライバルたちを「あ、焦って振ってるな」と観察していると、ザクザク入ってくれた(笑) まあ3連勝できなかったのは弱いところですが、結果オーライでした。 今年のこの記事を読んで、 「よし、来年は俺もグリーンを狙おう」と思っているあなた、 そうそう上手くはいかないですよ(笑) 上記のコンセプトは、あくまで、 「4人ゲーム」 「権利書事前購入式でグリーンは2枚必ず出た状態でスタート」 「にも係らず選手たちの緑の評価は非常に低い」 という、他にもいろいろなファクターが揃っていることが、大前提だからです。 ラストチャンス大会自体は来年以降も開催されるかもしれませんが、 それはもう今年のラストチャンス大会とは「別物」なのです。 今年のような相場は二度とないでしょう。 来年はまた来年で、それぞれが考え抜いた、練りに練った「作戦」を手土産に、 また参集し対決しようではありませんか。 それが一番楽しくまた正しい「モノポラ」のあるべき姿ではないかと思っております。 (て、来年もその時期まで出場権持たないつもりか?自分) まあ今回もいろいろ「偉そうに」書きましたが、 決して作戦だけでは思ったようにいかないのがモノポリー。 勝っておごらずというより、素直に「運がよかった」と喜ぶにとどめるのが正しい感想。 くどいようですがこれは「エッセイ」、しかも頭に「猫」がつくエッセイですから、 「読み物」として面白くするために(面白いのか?)脚色はしているものの、 実際にはそれほど中身があるとは本人が一番思っていませんので(笑)、 どうか軽い気持ちで読み流してください。 そして日本選手権の本選のレポートは、例によってまたまたまた長くなり、 全7回?の大長編となりそうです。 (現在既に本編は書き上げており、念を入れて関係者各位へゲーム内容などのチェックを依頼中) そしてこれまた例によって、某所へ投稿する予定です。 よって「名無し」の書き方になり、ここには直接は掲載しないと思いますので、 興味のある方は「しかるべき場所」へいってご覧下さい。